「この建機がビジネスを成功に導くと信じていた」UH063

「この建機がビジネスを成功に導くと信じていた」UH063

建機を訪ねて LEGEND12

Anric Developments PTY Ltd.

日立建機の信頼性を証明したい。
ビジネスを超えた固い絆。

自らの直感を信じ、周囲の反対を押し切ってまで導入した日立油圧ショベルで、現場にイノベーションをもたらしたアンリック社。その信頼関係は、30年以上の時を経た今もなお、メーカと顧客の関係を超え、強く結ばれ続けている。

アンリック社の設立

アンリック社は、一流の安全・品質・環境の持続可能性を追求する土木・鉄道建設会社である。機械のレンタル、道路建設とメンテナンス、土木工事、鉄道建設とメンテナンス、解体工事、修復作業を専門とし、シドニーの都市圏で特殊な機械を稼働させ、機械のサービスも行っている。
土木工事や解体工事はもちろん、鉄道工事にも重点を置いており、20年以上にわたりニューサウスウェールズ州の鉄道部門と緊密に協力してきている。アンリック社の歴史は1980年(昭和55年)に遡る。この年、シドニーを拠点とするリカルド・スピノッツィ氏とラファエル・スピノッツィ氏兄弟が土木事業を開始し、アガタ社を設立した。スピノッツィ氏兄弟は、やがてそれぞれの息子と一緒に事業を始める予定だった。
リカルド氏は息子アンソニーとともにアンリック社をはじめ、ラファエル氏はエミリオとアダモの2人の息子とともにテラ シビル社を始めた。両社はそれぞれ独立経営を行っているが、必要に応じて機械を貸したり、借りたりするなどお互いの事業をサポートしている。

リカルド・スピノッツィ氏

リカルド・スピノッツィ氏

反対を押して導入した油圧ショベル

スピノッツィ氏兄弟が事業を始めた当初は、バックホウローダだけを導入していた。なぜなら、このタイプの機械が土木工事に最も効率的であると考えられていたからだ。リカルド氏は当時を思い出して語る。「クローラーローダ(ドロット社製)やバックホウローダがより一般的な機械と考えられていて、油圧ショベルはまだ新しい機械と認識されていました。機械オペレータや工事発注者に油圧ショベルとその能力を受け入れてもらえるよう説得することは非常に難しかった」。
1984年(昭和59年)、スピノッツィ氏兄弟は初めて日立油圧ショベルUH063を購入することを決め、当時の日立建機の代理店だったディッグ ドミノ社から新車で購入した。兄弟は、地元の公共工事、道路交通局(RTA)やシドニー水道局から、多くのインフラ工事を請け負っていた。そして、UH063がこれらの大きな工事を成し遂げることができると信じていた。
兄弟は、工事の初期段階で現場に出向いたとき、雑草の生い茂る表土を剥ぎとるよう指示された。しかし、当時は油圧ショベルがまだ知られておらず、誰もがその能力に懐疑的だったため、現場監督からは「この作業を行うためには別のメーカの機械が必要だ」と言われた。さらに、現場監督は日立建機の油圧ショベルを採用することに反対し、油圧ショベルであれば他社の製品を採用するよう要求してきたという。しかし、UH063が作業に最適な機械であり、迅速かつ効率的に仕事を完了できることを、現場監督に納得させるのに時間はかからなかった。
同機は、長年にわたり道路建設、土地造成、下水道、水路、宅地造成、解体工事に使用され、数年後、知り合いの配管工に売却された。ただ、ほどなくして再び彼らの手に戻ることとなった。

  • シドニーとその近郊で民間向けに多くの住宅開発も手掛けている

    シドニーとその近郊で民間向けに多くの住宅開発も手掛けている

UH063 復元への想い

2005年(平成17年)、アンリック社は以前売却した配管工からUH063を買い戻した。同機は今でも使用可能だが、当時の状態に復元中である。リカルド氏は壊れた窓を取り換え、窓のガードを取り外して下地を整え、機械全体を再塗装したうえで、オリジナルに合うように特別に製作する新しいデカールを貼り直す予定だ。
リカルド氏は、UH063を復元することに熱い情熱を持っており、古い機械を元の姿に戻す作業に喜びを感じている。アンリック社は事業のために新しいモデルを購入してはいるものの、ずっと古いUH063を持ち続け、可能な限りオリジナルに近い状態に保っている。
またリカルド氏は、やがて開催されるシドニーでの展示会で、日立建機のブースに「今もなお健在なビンテージコレクターの作品」として展示されるのを楽しみにしている。その理由は、自分が誇りをもって所有している日立建機の油圧ショベルが、いかに信頼性が高く、長持ちする機械であるかを示せるからだという。

復元中のUH063

復元中のUH063

互いを称え合う絆

1980年(昭和55年)に土木事業を始めて以来、スピノッツィファミリーの会社は、自社の工事用の機械も、レンタル用の機械も、日立建機製品を導入し使用し続けている。現在、1.7tから26tまでの油圧ショベルを、両社合わせて50台以上所有しているという。兄弟は、日立建機オーストラリア社のキーアカウントマネージャのバリー・ケイヒル氏との緊密な提携関係と、地元シドニー支店のアフターサービスサポートを高く評価している。
日立建機オーストラリア社は、メーカと顧客の関係を超え、プロフェッショナルシリーズ『プロスラマードラッグカーレーシング』において、スピノッツィファミリーのスポーツ企業の後援もしている。一方で、アンリック社は日立建機オーストラリア社の展示会に機械を提供している。日立建機オーストラリア社は、ビジネスの枠を超えてサポートしあえる互いの関係性を誇りに思っているという。

バックヤードには多数の日立建機製品が待機している

バックヤードには多数の日立建機製品が待機している

UH063

納入年 1984年(昭和59年)
号機 10038
運転質量 11.9t
定格出力(PS/rpm) 85/2,200
バケット容量 0.45m3
特徴 OHS(Optimum hydraulic system)を搭載し、複合操作での作業性を大幅に改善。固定容量のギアポンプから、高定格圧力の可変容量ポンプを採用することで、エンジンの小型化・システム圧力損失の低減、高い省エネ性能を実現した。当社油圧ショベルとして初めてグッドデザイン賞を受賞。
現場にイノベーションをもたらした油圧ショベルUH063。今もオリジナルに近い勇姿を保つ。

現場にイノベーションをもたらした油圧ショベルUH063。今もオリジナルに近い勇姿を保つ。

Anric Developments PTY Ltd.

事業内容 土木工事、鉄道建設・メンテナンス、解体工事、機械のレンタル
代表者 リカルド・スピノッツィ
設立 1980年(昭和55年)
所在地 PO Box 193 Horsley Park, NSW 2175, Australia
ホームページ http://anricdevelopments.com
建設機械に刻まれた『ANRIC RAIL』の文字

建設機械に刻まれた『ANRIC RAIL』の文字