「日立建機製品はドライバビリティが優れている」EX60

「日立建機製品はドライバビリティが優れている」EX60

建機を訪ねて LEGEND10

株式会社瀬古興業

建設機械はどこまで進化できるか。
ICTで支える土木と地域の未来。

豊かな水をたたえる木曽三川に囲まれた岐阜県海津市。株式会社瀬古興業は、熟練の土木技術と最新のICT建機を活かし、この地の水防を担っている。先駆的な発想で土木業界の未来を切り拓く同社のチャレンジスピリットと、あふれる地元愛に迫った。

0.8m3クラスは圧倒的に日立建機

瀬古興業と日立建機の取引は、代理店マルアイ商事株式会社を介して行われている。今から40年ほど前、マルアイ商事の現会長・棚橋新一郎氏が岐阜県内の優良ユーザを訪問していく中で、瀬古興業の現会長・瀬古武美氏と出会い、経営に対する姿勢で意気投合。以来、瀬古興業はUHシリーズを皮切りに100台を超える日立建機製品をマルアイ商事から購入している。
「日立建機製品はドライバビリティが優れている。いい意味で動きに遊びがあってスムーズ」。そう語るのは、瀬古興業の代表取締役社長・瀬古聖士氏。土木の設計、工事現場での監督などを経て、2018年(平成30年)に同社の経営を引き継いだ。
土構造物の専門業者である同社にとって、油圧ショベルを選ぶ上で重要なのは、地盤の均しやすさである。足回りの高さが低く、地面に目線を合わせやすい日立建機の製品は同社の施工にちょうどマッチするという。中でも瀬古社長が名機と絶賛するのが、現在長良川の河道掘削工事にも使用しているZX200だ。「ZX200はアームが長く作業範囲が広いので、作業時の本体移動が少なく、何に使っても扱いやすい。アーム重量が大きくて土も締め固めやすいから、法面がきれいに仕上がる。バケット容量0.8m3クラスは圧倒的に日立建機がいい」(瀬古社長)。
瀬古興業で建設機械を新たに導入する際は、必ず瀬古社長自ら運転席でその感覚を確かめ、オペレータと相談の上で選定するという。「実は以前、ちょっと他社の機械に浮気したことがあったんですが、結局“日立建機がいいね”という結論に至った。違う機械に乗って、あらためてその使いやすさに気付かされた」(瀬古社長)。
現在保有している日立建機製品37台の内、最も古いのが油圧ショベルEX60。瀬古会長が海外のバイヤーから買取を持ちかけられた際も、頑なに断ったという思い入れのある1台だ。エンジンはまだ動くが、今はその役目を終え、功労機として同社の資材置場で静かな余生を過ごしている。

代表取締役社長 瀬古聖士氏

代表取締役社長 瀬古聖士氏

どこよりも早くICT建機を活用

国土交通省が推進するi-Constructionとともに普及しつつあるICT建機。瀬古興業ではその流れを見越すかのように、10年以上前からICT建機を導入してきた。「当時はまだ、今の3次元ではなく2次元が世に出てきた頃。それまで私も手作業で丁張りを掛けていたんですが、とにかくしんどくて。もっと簡単にできないかと思っていたときに、広告でICT建機を知ったんです」(瀬古社長)。
瀬古社長自らアプローチし、とある測量メーカのガイダンスシステムを日本で初めて導入した。当時はまだ開発途上の技術だったゆえに精度を高められず、現場は四苦八苦の連続だったという。「ただ、その頃に学んだキャリブレーション(調整)技術が今に活かされている」と瀬古社長。現在では同社が施工するほとんどの工事現場でガイダンスシステムを搭載したICT建機がフル活用され、大幅な生産性向上を実現しているという。「私自身がそれまで重機に乗っていなかったため、先入観なくすんなりと導入できた。今では3次元設計データもすべて内製化しています」(瀬古社長)。社長自らが中心となり、社員みんなで新たな技術を習得する。小さな会社だからこそできること、と瀬古社長は謙虚に語った。
ただ、そんな瀬古社長も各メーカが掲げる「ICTでなんでもできる」という触れ込みには警鐘を鳴らす。「今はまだICT+人でちょうどバランスが取れている状態。土木の現場はすべてオーダーメイドだし、人にしかできない領域もある。オペレータ一人ひとりが土木知識や技術を身につけることも大事」。
技術的にも普及率的にも建設機械のICT化はまだ過渡期の段階。ICT建機の進化には、これからもお客さまの協力が欠かせない。

  • ICTと人、それぞれの強みを活かし現場課題を解決している

    ICTと人、それぞれの強みを活かし現場課題を解決している

  • 志津採取場

    志津採取場

  • 長良川の河道掘削工事を行うZX200

    長良川の河道掘削工事を行うZX200

地域の会社が地域を守る

木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)に囲まれた海津市は、ほぼ全域が海抜0m地帯にあり、常に洪水や高潮などによる水害リスクがつきまとう。瀬古興業は、護岸工事などの河川工事にもICT建機を活用し、地域の水防を担っている。
「この仕事はいたちごっこ。川が流れれば土砂は堆積し、今後気温が上昇していくと堤防もさらに高くしなければならない」と瀬古社長。続けて、自身の理念をこう語った。「地域の建設会社が、地域を守るのが一番。地元の材料(土・砕石・砂)を使って、地元の建設会社が地域を守ることを地場産業として定着させる。そのためにいつでも緊急対応できるよう、建設機械はレンタルではなく、自社保有している。機械と材料を自分たちで抱え、自分たちの土木技術で地域を支えていく」。同社では、マニュアルだけでは対応が難しい災害現場での対応に備え、平常時の工事でも技術と土木勘を身に付けるようオペレータに意識付けしているという。
マルアイ商事の代表取締役社長・棚橋剛大氏も、その志を共有する。「創業して約50年、ずっとこの地域のお客さまにごひいきいただいている。お届けする日立建機製品を頼りにしていただけるお客さまがいる限り続けていく。それが私たちの社会的責任」(棚橋社長)。
がむしゃらに利益を追求することだけが、企業の価値ではない。両社が見つめる視線の先には、いつまでも穏やかな地域の日常が広がっている。

マルアイ商事・代表取締役社長 棚橋剛大氏

マルアイ商事・代表取締役社長
棚橋剛大氏

言葉や文化を超えて育てる

瀬古興業では2019年(平成31年)の改正出入国管理法施行に伴い、外国人技能実習生の受け入れに乗り出した。「ちょうど先日、ハノイへ行ってきましたが、ベトナムの方はみんな技能を身に付けることに真剣。純粋でやる気に満ちていて、日本人が感心して涙を流すこともあるようですよ」(瀬古社長)。ベトナム人の技能習得に対する情熱に、瀬古社長も大きな刺激を受けたという。
外国人技能実習制度を利用して外国人を受け入れることには、言葉の壁、文化の違いなどさまざまなハードルがある。受け入れる企業側は、住まいをはじめとした福利厚生の面や技能習得の実習プランなどを組む必要がある。それでも瀬古社長は前を向く。「大切なのは、お互いに良い関係を築くこと。最初は初めてゆえに単純な作業から覚えてもらい、徐々に重機の免許も取ってもらって、将来的にはひとつの現場を任せられるような人に育てたい。そのためには、資格取得も支援する」(瀬古社長)。同社では、2020年度に早速2名のベトナム人を受け入れる予定だ。
「めざすのは、社員全員が土木全般の技術を備えた技術者集団」と瀬古社長。国を挙げてダイバーシティ経営の推進が行われていく中で、同社では今後も広く人材を受け入れ育成を進めていくという。ICT建機が、その扉を開く重要なカギになることは間違いない。

  • 志津採取場には常に複数の建機が備えられている

    志津採取場には常に複数の建機が備えられている

  • 長年にわたり両社の懸け橋となっているマルアイ商事・営業本部長 小林秀雄氏(左)

    長年にわたり両社の懸け橋となっているマルアイ商事・営業本部長 小林秀雄氏(左)

EX60

納入年 1987年(昭和62年)
号機 10523
稼働時間 5,530Hr
運転質量 6.3t
定格出力(PS/rpm) 55/2,200
バケット容量 0.25m3
特徴 6tクラスのUH025-7のフルモデルチェンジ機で、油圧ショベルEXシリーズの最小モデル。丸みを帯びたデザインに変更。狭隘地でも乗り降りのしやすい中折れドアや、深掘り時の視認性を重視した前スタンドレバーを採用。油圧システム(OHS)を進化。マイコンコントローラを用いたE-P制御等を搭載し、6tクラス油圧ショベルの技術的なリーダとなった。
功労機として同社の資材置場に保管されているEX60。普段は使われていないが、ひとたびエンジンをかけると全盛期さながらの唸りを上げる。

功労機として同社の資材置場に保管されているEX60。普段は使われていないが、ひとたびエンジンをかけると全盛期さながらの唸りを上げる。

株式会社瀬古興業

事業内容 土木工事業、山土砂採取・砕石業
代表者 代表取締役会長 瀬古武美
代表取締役社長 瀬古聖士
設立 1980年(昭和55年)
所在地 岐阜県海津市海津町沼新田552
ホームページ https://seko-kogyo.jimdofree.com
株式会社瀬古興業